<$Blog Title$>

Friday, January 5, 2007

アルス・エレクトロニカ

「マルチメディア」という言葉が話題になりはじめの頃、ドイツ、カールスルーエのZKMへは取材に行く機会がありました。今はブリュッセルの王立モネ劇場の芸術監督を務める指揮者の大野和士さんが、まだ、カールスルーエのオペラを指揮していた頃で、忙しいといっても今ほどではなかったので、公演後に一緒に中華料理屋さんにご飯を食べに行きました。一方、同じ頃からオーストリア、リンツのアルス・エレクトロニカも有名だったのですが、なぜかなかなか行く機会がありませんでした。


そこで、2005年の晩秋、トリノの国際映画祭へ行く前にリンツに立ち寄ろうと決心して、これがまた、リンツ〜トリノの移動というのが想像を絶するほど不便だったのですが、やっとのことでアルス・エレクトロニカを訪問してきました。旧市庁舎前に立つ、古い歴史を持つホテルからは歩いても行ける距離でしたが、川の向こうに見えて来たアルス・エレクトロニカと思われる建物のショボさ・・・その小さはともかく、回りに描かれている何ともいえない絵のダサイ雰囲気に、「うっ」と思って、橋の上でしばし佇んでしまいました。また、午前中だったこともあって、ITとはいかにも無関係そうなお掃除のおばさんが無神経に掃除をしており、入っていく人もほとんどいなかったため、もしや、展示は休業ではないかと不安を感じたものです。


中に入ってもっとびっくりしてしまったのは、来ていたのがほとんど小学生の団体ばかりで、蜂の巣をつついたような騒ぎだったことです。日本でいうと、科学未来館とか、あるいは、産業系でよく社会見学で使われる博物館の位置づけに近いもののようでした。韓国、中国からの視察者のグループには出会いましたが、走り回る子供たちにすっかり驚いて、それからリサーチ部門の研究者に話を聞いたところ、「展示部門」には税金が投入されているため、基本的に地元の子供向けのアウトリーチに力が入れられており、逆に、リサーチ部門は独立採算性なので、予算を獲得できる限りは何でもできるとのこと。ベルリンでの自動車見本市のディスプレイのデザインや、ドイツの放送局と共同でオペラ作品の演出に使うCG映像をコラボレーションで制作するなど、こちらのほうはいくらか面白そうでしたが、「カタログ通販のウェブ・サイトをデザインしてお金を稼いでいる」といった切実な話には、ちょっと物悲しくなりました。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home